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2016-10-21

子を想う親の愛情を伝える名作~W.スタイグの絵本


『ロバのシルベスターとまほうのこいし』

絵本を読んでもらう時、

子どもたちは、心にたくさんの贈り物を受けとります。

声の中に優しさを、

座った膝の温もりからは愛を、

お布団の中であれば安らぎを。

それはきっと、子どもが大人になった時も、

消えることなくそこに在り、心を温めてくれるでしょう。

 

ウイリアム・スタイグの名作絵本

『ロバのシルベスターとまほうのこいし』は、

切ないほど大切に 子どもを想う親の愛を、

子どもの心に 真っすぐに伝えてくれます。

 

魔法の小石で、いちご山の岩となってしまったロバの子どもシルベスター。

家に戻らない息子を心配して 探しまわる両親は、

辛く悲しい毎日を過ごします。

季節が変わり、元気を出そうとハイキングに出かけたいちご山で、

シルベスターの岩に お弁当を広げます。

そして両親に気づいたシルベスターの願いが、

魔法の小石に届くことになり、

シルベスターは無事にロバに戻ることができました、

というお話です。

 

登場する動物たちの少しとぼけた表情と姿が愛らしく、

淡い色彩がほのぼのとしているだけに、

息子を探し続け、もう二度と会えないのだと

悲しみに沈む両親の姿の哀しさが、切々と読み手の胸に迫ります。

いちご山の景色が夏から秋、そして冬へと変わり、

岩になったシルベスターの絶望もまた、静かに伝わります。

そして春のいちご山。

ピクニックに全くふさわしくない表情で登場した両親。

岩になった自分にこしかけた母の温もりで、

長い眠りから覚めたシルベスターと、

魔法が解けての歓喜の再会!

もはや物語の世界に入り込み、悲しみを共にしていた読み手も、

しみじみと喜びに浸るのです。

 

最後のページには、家のソファーでひしと抱きあう親子の姿が描かれます。

お父さんは、何でも願いの叶う魔法の小石を金庫にしまいます。

「いまのところ、のぞむことがありませんでした。

みんなののぞみが すっかりたりのですから」

そう物語はしめくくられます。

 

愛していることを 伝えたい時、

読んであげたい絵本です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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