太王四神記~来世の約束

神話時代、火の巫女カジンは、ファヌンと結ばれなかった想いを来世に託した。このドラマでは「来世」という言葉がよく使われる。それが韓国の宗教観によるものなのか、ドラマの舞台が古代ゆえかは分からないが、転生を信じるひとりとして、その言葉の一つひとつに共感を覚える。
最終話でキハとホゲの間に交わされた来世の約束は、このドラマを締めくくるにふさわしい。キハはホゲの愛を十分に承知していたが、今世ではタムドクへの愛を貫く定めだったのか、無念を晴らしタムドクと共に死ぬつもりだった。そんなキハにホゲは、「どうしたら、そなたを救える」と問う。最終決戦を前にしたこの武将の望みは、王位や天の力などではない。一途に、キハの愛なのだ。最終話のこの場面は、同じ最終話でタムドクがスジニに愛を告げる場面に匹敵するほど胸を打つ。そんなホゲにキハが言う。「待っていて。無念を晴らし生まれ変わったら、きっと会えるはず」。鎧に包まれた胸に手を当て「約束します」と言ったキハの言葉を携え、ホゲは決戦の舞台へと去っていく。
神話時代から続くファヌンへの、タムドクへの愛に生き、涙を流し続けたキハは、ホゲとのこの約束によって、気の遠くなるほどの長い時を繋いできた想いから、ようやく解放されたのではないだろうか。運命に翻弄され、「地獄へ落ちるかもしれない」と自嘲し、今世では愛が報われなかったホゲもまた、救われたに違いない。タムドクに負け、天の力も永遠の命も手に入れることはできなかったが、きっと来世でキハと出逢い、穏やかに愛を実らせて欲しいと願う。
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