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2016-12-23

善良なる人々に癒される~映画『若草物語』


傷つくことのない心安らぐ世界に癒される~

    映画『若草物語』(1949年版)

映画の原作『若草物語』は、

19世紀後半のアメリカを舞台に、

マーチ家の四姉妹を描いた物語。

この映画は制作が古く、原作が少女文学であるためか、

冒頭からレトロで愛らしい味わいです。

 

物語の始まりは、クリスマスの頃。

雪景色に古い建物と馬車。

絵本の挿絵のような構図の美しさです。

映像の古さゆえの、絵とも実写ともつかない、

文字通り、絵のように美しい背景の中で、

物語は始まります。

 

まず心を奪われるのは、姉妹の住む家の心地よさ。

小さな格子の窓枠には雪が積もり、

窓辺には、もみの木のクリスマスツリー。

劇の練習をする姉妹と、暖炉、ソファー、お茶のテーブル。

小ぢんまりと居心地のよい、

“cozy”という表現がぴったりの住まい。

この映画には、随所に、

心惹かれる要素が散りばめられています。

 

そして、書き留めておきたくなるような

美しく、心に残る台詞の数々。

 

従軍牧師として戦地に赴いている父親からの手紙を、

凛と美しく、心優しい母が、

暖炉の傍で、姉妹に囲まれて読む場面。

 

厳しい戦時下に於いて、勤勉であれ。

内なる敵である自己には勇気をもって戦い、

美しくそれを克服しなさい。

家に戻った時、これまで以上に、

愛すべき、誇るべき娘に成長した君たちに

再会できることだろう。

 

娘たちの将来に望むことを、次女ジョーが問う場面では、

母がこう答えます。

玉座に在りながら、心の平安と自尊心を失った女王となるくらいなら、

むしろ、貧しい男性の幸せな妻であってほしい。

たとえ、尊敬される立派な女中として年老いたとしても、

そのほうが良いのですと。

富ではなく、自尊心をもって、美しく善良に生きることを、

母は娘たちに願います。

 

小説家を志すジョーは、その後、良き理解者に巡り合います。

二人で楽しいひと時を過ごした後で、

その男性がジョーにこう話します。

 

美しいものを、誰かと共有する、

これほどの喜びはありません。

 

この映画には、古き良き時代の人々の、

「善良」であろうとする尊い意志が

溢れているように感じます。

映画を観ている時の何とも言えない心地よさは、きっと、

その尊い意志に包まれた世界に居る安らぎ。

その世界に居るかぎり、

現実の世界に蔓延る「悪意」から解放され、

傷つく恐れのない安らぎに満たされます。

 

この映画に浸るひと時は、

心安らぐ、癒されるひと時となるようです。

 

 

 

 

 


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