心に灯す希望の光~絵本『やまあらしぼうやのクリスマス』
心に希望の光を灯すことを教えてくれる絵本
『やまあらしぼうやのクリスマス』
文 ジョセフ・スレイト 絵 フェリシア・ボンド
訳 みやち としこ (グランまま社)
クリスマス劇の季節がきました。
やまあらしぼうやは、劇にとても出たいのですが、
とげのある姿のせいで、自分に自信が持てません。
そんなぼうやを、ぎゅっと抱きしめて、
お母さんやまあらしは言います。
『ぼうやは おかあさんの こころのひかり』
この言葉に励まされ、
走って出かけたやまあらしぼうやでしたが、
カッコ悪いから舞台係と掃除係くらいしかできないと、
動物の子ども達に意地悪を言われ、からかわれ、
泣きながら家へとんで帰ります。
泣いているやまあらしぼうやを、
お母さんやまあらしは、ぎゅっと抱きしめて言います。
『ぼうやは おかあさんの こころのひかり。
ぼうやは みんなの いちばんすてきな ぶたいがかり
いちばんすばらしい そうじがかりに なれますよ』
クリスマスの四日前。
劇の配役が決まりましたが、やまあらしぼうやにはありません。
クリスマスの三日前。
みんなは衣装をもらいましたが、やまあらしぼうやはもらえません。
クリスマスの二日前。
舞台の立ち位置が決まりましたが、やまあらしぼうやにはありません。
そしてクリスマスの前の晩。
多くのお父さんお母さんが見守る中、
いよいよ劇が始まります。
ところが肝心の、
「かいばおけの赤ちゃん」のところへ
博士を導く星がありません。
子ども達は大騒ぎ。
そんな中、やまあらしぼうやは、
『ぼくに 任せて』と、モミの木に登ります。
舞台の準備で、からだに付けた飾りくずもそのままに、
ぴかぴかのとげを広げ、立派な星になったのです。
その美しい星に、みんなが驚き、讃えました。
お母さんやまあらしは、そっとつぶやきます。
『わたしの こころの ほし』
深い愛情に満ちた言葉は、
いつも、ぼうやの心に希望の灯をともします。
自信を失い沈んでいる時、
誰かの言葉や態度に傷ついた時、
どんな自分であっても、
変わらずに抱きしめてくれる人がいてくれる安らぎ。
それが、生きる希望となり、輝く自信になることを、
やまあらしぼうやが教えてくれます。
そして、やまあらしぼうや自身も
”the light of her life”
お母さんやまあらしの、人生の希望の灯なのです。
クリスマスという特別な日に、
大切なことを、しみじみと思い出させてくれる、
心温まる絵本です。
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